雑記<日本における住宅ストック産業研究の歴史>

こんにちは、お久しぶりです、トクです。

最近コツコツ進めていた研究(というより自分用の調べ物ですが)が完成したので、この場を使って、それを発表したいと思います。

ズバリ私は「日本における住宅ストック産業研究の流れの図化」に成功しました!( ↓ こんなの)

今日はこれを見せびらかすとともに、これを使って、戦後の日本における、ストック社会への転換のためのアプローチについて見てみることとします。

研究の背景と目的

私の専門分野は住宅ストック、リフォーム関連なのですが、今まで日本でどのような研究が行われてきたか、その先行研究の流れをまとめた資料はほとんど存在しません。過去の研究というのは整理されているわけではないので、CiNiiやJ-STAGE、或いはひたすらに紙の書籍を読み漁って、一つずつすくい上げるしかない状態でした

論文を書く時には、まず類似の研究を調査し、「何がまだ充分にわかっていないのか」を指摘した上で「研究の目標」を設定、「今までどのような調査・分析方法が採用されてきたか」を指摘した上で「過去との差別化のための特色」を出さないといけません。要するに、先行研究を読み込まないと、1文字も書き出すことができないので、大変不便していたわけです。

今回行った研究は、過去の研究を整理し、時系列で図示することで、過去のアプローチや最近の研究の流行りを、簡単に理解できるようにしよう、というものです。

過去の試みと本研究の特色!

過去の研究の歴史を整理する試みについて、最も優れた研究業績の一つは、財)住宅総合研究財団がまとめた「現代住宅研究の変遷と展望」でしょう。住宅研究の全範囲に渡って、過去のアプローチ全てを取りまとめています。

この書籍における「住宅ストック」に該当する部分、156P~164Pでは、過去のアプローチが6通りに分類されています。

1.住宅ストックデータ
(住宅ストックのそもそもの総量を、統計データ等から把握するための研究)
2.戸建住宅地・集合住宅団地の変容と再生
(住宅がどのように社会にストックされていくか、住宅地や団地の変化を追う研究)
3.集合住宅の長期耐用に資するビルディングシステム
(集合住宅の物理的な更新(部品の交換等)のやり方を考える研究)
4.住宅ストックの活用方法としてのリフォーム
(リフォームの実態や生産体制を明らかにする研究)
5.長寿命化を実現するためのライフサイクル研究
(住宅のライフサイクルコスト削減方法を考える研究)
6.資源の有効利用による住宅生産システム
(部品の再利用法を考える研究)

ただし、アプローチ毎に解説されているため全体を通しての流れは不明確であり、また「既存住宅の活用法」という点で「中古住宅流通」について触れていない弱点があります。何より、2009年に出版されたので、それ以降の研究についてはノータッチです。

この研究の特色は、全て一体的に「図」にすることと、最近の研究も含めての考察である点にあります。

研究の方法?

本来であれば、被引用回数などから論文の重要性を客観的に計測し、網羅的に一覧化する必要があります。

ただ、これは「歴史の流れ」をつかむ参考資料作成を目標とすること、査読論文でもなんでもないことから、「現代住宅研究の変遷と展望」に掲載されている論文や、被引用回数の比較的多い論文を中心に、私の主観でセレクトします。

そこから更に、各論文の参考文献リストから、研究の流れを過去に遡っていきました。それがこちらです!


図1 住宅ストック産業研究年表

考察・結論

この図を見ると、結構色々なことがわかります。

日本における「リフォーム萌芽期」は1980年頃~、「リフォーム発展期」が2000年頃~、と結構はっきりわかれるのですが、00年~02年にかけて様々な制度が整備されるとともに、研究の量も増加していることが読み取れます。

また、00年以前のテーマは「住み替え・更新」が多いのに、00年以後は心なしか「如何に長持ちさせるか?」に比重が偏っていっています。

意外なのが、リフォーム先進国である欧米との比較研究が始まったのが、割と最近であること。山崎(2002)の他、萩原ら(2011)、斉藤・中城(2008)など、00年以後の流行りなんですね。海外との比較研究はまだ数が少ない貴重な研究です。

矢印を追っても面白いことがわかります。「小松幸夫」という研究者がいらっしゃるのですが、この方は約30年ずっと「日本の住宅の寿命」を追いかけていらっしゃいます。その積み重ねは桁違いで、彼の研究は「住宅寿命」の推定値で最も信頼性の高い研究と言っても過言ではないでしょう。この方の研究が年表の真ん中を両断する形で示されてるのですが、如何に長く継続しているかがよくわかります。(下図の赤枠の辺り)

広範に影響を及ぼしている研究者には他に「山崎古都子」という方がいます。表の左中央にある研究の著者です。(下図の赤枠の辺り)

この方は「脱・住宅短命社会」という本の著者でもあります。(名著です)

矢印が広がっていくのを見ると、「研究は後代に引き継がれてゆく」ということが実感できますね。

この図は所詮、私の主観に基づいたもので、統計的な要素もなく、軽く参考にする程度の意味しかありません。が、研究の流行を感覚として掴む教材としては、そこそこの代物ができたのではないかと思います。

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