書評<汚部屋にサヨナラする方法>

住宅、ひいては暮らしを考える上で、インテリアは切っても切れない存在ですよね。素敵な暮らしの実現には素敵な家具がかかせません。実際、著名な建築家の中には、優れた家具デザイナーもいます。


ル・コルビュジエのLC2ソファー(出典:【楽天市場】コルビジェ ラウンジチェア ソファ 1人掛け LC2|リコメン堂)

でも意外なことに、大学の建築学科では、あまりインテリアのことは勉強しませんでした。基本、アカデミックな話が多いので、実生活に近い内容はなかなか。基本的な家具の寸法は習いますし、全くわからないわけではありませんが、結構怖い話です。

ただ、それ以上に勉強しないのが、収納・片付けに関する話。名建築と呼ばれる建築でも、「収納が全く足りなくて、住めば踏み場のない暮らし確定」という住宅は珍しくありません。収納アドバイザーという職業が確立したのも、然もありなんという話です。

今回は、収納・片付けに関して、なまなましいリアルな話を描いた漫画「ダメな自分を認めたら部屋がキレイになりました」を紹介したいと思います。


ダメな自分を認めたら、部屋がキレイになりました

目次
1.1.わたなべぽんのお部屋
1.2.持っているだけで安心する
1.3.大切なものに囲まれる
1.4.キレイな部屋に暮らす
2.まとめ

1.1.わたなべぽんのお部屋

この漫画の著者、わたなべぽん氏は、「スリム美人の生活習慣を真似したら、1年間で30キロ痩せました」シリーズなど、コミカルなエッセイを代表作に持つ漫画家さんです。子供の頃から片付けが苦手で、「漫画家」という職業のステレオタイプなイメージから想像される通りの「汚部屋」で生活していらっしゃったそうです。


(出典:「ダメな自分を認めたら部屋がキレイになりました(以下省略)」8ページ)

旦那さんとの二人暮らしで、間取りは2DK(寝室6畳、キッチン6畳、リビング6畳)と、スペース的には十分なはずなのに、なぜ部屋が汚部屋になっちゃったのか?わたなべ氏がキレイ部屋を手に入れるまでに気づいた、ダメ人間には耳が痛い話が、てんこ盛りとなっています。

1.2.持っているだけで安心する

わたなべ氏が、部屋が散らかる理由のヒントを得たのは、友人たちと旅行に行った時のこと。友人たちの荷物が随分と少ないことに驚いたのです。「何持ってきたの?」と言われ、バッグの中身を見てみれば、ほとんどが使わなかったものでした。


(出典:20ページ)

バッグの中は「使うかわからないけど持ってると安心するもの」だらけだったのです。改めて部屋を見てみれば、案の定「ほとんど使っていないもの」だらけ。これを処分するのが、キレイ部屋への第一歩となるのでした。

キレイな部屋はモノの絶対量が少ない例えば、住宅雑誌の写真を見ると、驚くほどモノが少なくて生活感がないことに気づきます。
(勿論、雑誌の写真は、絵が映えるよう小物を配置しているので、実際に友人・知人を招いた時にウケがいいかは、別の話ですが)


(出典:「SUUMOリフォーム 気持ちいい!自然素材リフォーム」31ページ)
モノが多い家は、それだけで散らかりやすいのです。忙しい現代人にとって、一日で部屋の片付けに割ける時間なんて、たかが知れてますもんね。
ちなみに、持ってるだけで安心するもの例も載ってます。これは一部ですが、下を見てギクリとした人は高確率で汚部屋気質アリ。

持ってるだけで安心するもの例(出典:38ページ )

1.3.大切なものに囲まれる

キッチンの片付け中、わたなべ氏は結婚式の引出物を発掘!
探せば他にも数多くの高級品が眠っていたことが判明しました。高級品は普段使いには怖いと思っていたが、死蔵するよりはと、古いものを処分して、彼らを活躍させてみることに。

また、リビングの片付け中、数多くのコレクションや趣味のモノがホコリをかぶっているところも目にします。思い入れがあっても、大切にしていたわけではなかった。そこで、キレイに取ってあったものを除いて厳選していくことに。


(出典:74ページ)

結果、部屋は「本当に大切なものに囲まれ」た、宝箱に変身したのでした。

モノを厳選するとクオリティが高まる

使うモノを少なくすれば、減らした分、そのモノに使っていたお金と時間が、残ったモノに集中します。すると、「いい品を丁寧に使う」ことのハードルがぐっと下がります。
逆に安売り品を多く買うと、結局使わないものが増えるので、かえってお金もかかり「安物買いの銭失い」スパイルに陥ります。

1.4.キレイな部屋に暮らす

こうして、モノを減らし、キレイな部屋を手に入れたワタナベ氏。3ヶ月後も、部屋はキレイなままでした。
「使ったらしまう」「ゴミを放ったらかしにしない」ことが自然にできるようになり、憧れのホームパーティができるまでに。
ワタナベ氏は新しい暮らし、新しい自分に出会います。


(出典:101ページ)

部屋がキレイだからキレイを維持できる汚部屋に住む人は、どうしてキレイ部屋の人はキレイを維持できるのか?不思議だったりします。逆にキレイ部屋の人はどうして汚部屋になるのかがわからない。

理由はシンプルで「部屋がキレイだと、自然と片付けができる」から、なんですね。住む人の精神力のせいではなく。
部屋が散らかっていると、モノの出し入れが大変。だから見える場所にモノが散らばる。そんな部屋をキレイに戻すのはもの凄く大変。つい放置してしまう。最悪、こんなに大変なら散らかったままでいいや、と諦めてしまう。

追記:
余談ですが、メンタリストDaigoさんの理論を使うと、そんなダメ人間の心理がよく説明できたりします。Daigoさんの著書「超集中力」には「ウィルパワー」という面白い概念が登場するのですが、これは要するに、思考する度に減っていく、脳みその体力、つまり気力のこと。このウィルパワー、何を考えても減るので、やりたくないこと(例:朝、起きるのが辛いので、「起きたくない」と考えてる毎に減っていく)を考えていると、すぐに無くなってしまいます。
片付けも、片付けが大変だと、ウィルパワーをごっそり持って行かれて、何もやる気がなくなっちゃうわけですね。
2.まとめ

モノを減らす重要性がよくわかる一冊です。

(私自身、一人暮らしで、テスト期間とか、建築学科の設計演習の締め切り間際とか、大抵部屋がエラいことになったので、心に刺さる部分は多かったですね。ワンルームはスペースが少ないので、油断するとあっという間に(笑))

ただ、全体を通じて、やっていることは断捨離です。持っているだけで安心するものを捨てて、実際に使っているものだけにする。住む人の心理に重点が当てられていますから、啓発本以上のものではなかったのは残念です。あと、欲を言えば汚部屋だったころの写真も、ちょっと見てみたかった。

とっかかりとしては面白い本ですが、適切な収納量、ひいては「適切なモノの量」を知るには不十分。(例えば衣服で言えば、バーの長さが2メートル、というような相場があったりするのですが。そのへんもいずれまとめてみたい)
片付け上手になるには、これに加えて、もっと詳しい本を1,2冊は読みたいところ。設計志望の学生には、かなり物足りないかもしれません。

おすすめ度:★★★☆☆
(建築学生:★★☆☆☆)

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