ペット可物件のクリーニング費用

ペット可物件のクリーニング代が高いわけ

ペットも家族、という方も多くなったこのご時世。ペット可物件の需要が絶えることがありませんが、トラブルも絶えず、まだまだ数が少ないのも事実。

よくトラブルの種となるのが、高額なクリーニング費用。「敷金が全部消えて請求まできた」と嘆く借主や、「費用を払ってもらえず持ち出しになった」と嘆く不動産屋も多いでしょう。

例えば40平方メートルの1LDKの場合、ハウスクリーニングのセット料金は約4万円程度でしょう。勿論業者によっても、どこまで綺麗にするかによっても、値段は大きく変わってくるのですが、敷金が全部消滅するまではいきません。

何故そこまで高額になるのか?

今回はペット可物件の清掃費用の負担の実態について、お話したいと思います。

ペットによる損傷の修繕は賃借人負担!

出ていく部屋は借り物、修繕義務があります

賃貸物件は退去時に、借主負担(敷金から支払う)で原状回復することが一般的です。つまり、全部綺麗に元通りにして出ていく必要があるのですが、ただしこれには経年劣化等、通常の使用で生じる損耗は含まれません。

この目安には国交省のガイドラインがあります。これによると、原状回復義務の例はこんな感じ。


原状回復義務
有り: 故意の落書き等
無し: 家具によるカーペットや畳、床のへこみ等


ちなみに「カーペットに飲み物をこぼしたことによるシミ」は、

「飲み物をこぼすのは普通のことだけど、こぼした後の手入れ不足で生じたシミ・カビは借主負担でしょ」

と考えられているようです。この境界線については、国交省のガイドラインはあくまでも目安で、ある程度特約でいじれます。だからその境界線は、原状回復条件を契約書に添付して、予め合意しておく必要があります。(ペット可物件は特約で「クロス張替費用」などが盛り込まれていることもあります)

で、このガイドラインでは「飼育ペットによる傷・臭い」は借主負担としています。通常使用に含まれません。特約で定めない限りは、普通は借主負担となります。

ハウスクリーニング費上昇の理由

例えば猫を飼っていた場合、臭いの他、「床が爪痕だらけで張り替えないといけない」「建具をかじられたので取り替えないといけない」「畳に粗相してカビが生えたので新しくしないといけない」など、設備を交換しないといけないので費用がグーンと伸びます。臭い除去など、作業が増えることも要因。

例えば、1LDKの内、6畳の寝室(クッションフロア)をペットにも自由に使わせていたとします。

6畳間のフローリングを張り替えて5万円。
壁紙張り替えに4万円。
柱傷補修に1万円。
ドア交換に5万円。
ペット消臭消毒に1万円。
本来のクリーニング費用4万円。

本当にざっくりした概算ですが、総額20万円。2ヶ月程度の敷金は軽く吹き飛びます。(当然どれだけ汚れてるかで全然値段は違いますが、交換を要するほど汚れていたら値段倍増では済まないということです)

借主の負担割合はどれだけか?

「借主の負担が大きすぎない?」という疑問を持ったそこのあなた!

壁紙や床は、傷や汚れが一箇所でもつけば、全部取り替える必要がある。だからこれだけ高額になるのですが、確かに年単位で暮らして一箇所も汚さないというのは難しいものです。

だから国交省のガイドラインでは、負担単位、耐用年数、経過年数に応じて、借主の負担割合を算出するようにしています。

・畳の負担は原則1枚単位、チグハグになるからといって全部新品にして全部借主負担とすることはできない
・フローリング全体にわたる既存は、当該建物の耐用年数で残存価値1円となる直線を想定し負担割合を算定する

など、一つ一つに目安が設けられています。

表1 耐用年数6年及び8年の設備における費用負担の割合

だから先程のシミュレーションでも、20万円全額を負担する必要はない可能性が高いです。請求されても、大家さんとの交渉チャンスはあると思っていいでしょう。

ただし、国交省のガイドラインはあくまでも目安。法的拘束力を持つわけではありません。もし特約に記載があったなら厳しい。

「借主に不利な特約」の扱いに関して、国交省は以下のように回答しています。詳しくはこちら(外部サイト)のQ3を見てください。

建物の賃貸借契約は、借地借家法の適用があるのが原則であり、借地借家法が定める事項については、借地借家法の規定と異なる合意を規定しても、借主に不利な特約として無効となるものもあります。
 また、消費者契約法は信義誠実の原則に反し、消費者の利益を一方的に害するものは無効と規定しています。しかし、このような強行規定に反しない限り、契約自由の原則により、合意された契約内容は有効となり、賃借人に不利な特約がすべて無効になるわけでもありません。

「契約書にサインする=合意した証」と主張されるでしょうから、まず「読んでなかった」では通りません。詳しいことは弁護士に聞けば確実ですが。結局、悪質な特約があったら契約を避けるのが一番無難です。

こっそりペットを飼ってたら?

ペットについて制限を設けるのは、意地悪がしたいからではありません。住む人を保護するために必要なことです。

ペット可物件で特約を設けるのも、貸主と借主の両方を保護するためのものです。一般のアパート・マンションでは、当然ペット飼育者に対する保護なんてありません。

即追い出されるケースこそ少ないようですが、ペット不可の物件でペットを飼うことが、貸主に対する信義則に反してますし、できた傷は全部「できるはずがない傷」なので、入居者が全額負担を言い渡される可能性大。

 

仮に私が悪質な大家だったら、「店子の弱みにつけこんで、古くなったあれもこれも全部新品に交換してもらおう。な~に、先に人を裏切る真似したのは向こうじゃないか」なんて考えてもおかしくないです。

そうでなくとも他の入居者の手前、ルール違反者には厳しく接するでしょう。

こっそり飼ってても臭いや跡が残ってバレます

過去には、犬に轡をつけて吠え声を防ぐなど、ペットに負担を強いる方法で誤魔化していたケースもあるとか。そこまでして飼いたいなら、多少不便な物件でもペット可を探すべきと思うのは、私だけではないでしょう。

ペナルティだらけで誰のためにもなりません。こっそりと飼うのは絶対にやめましょう。

ペット不可物件でも金魚はOK?

ちなみに、「犬や猫はともかく、金魚くらいなら迷惑もかからないから大丈夫だろう」という方。残念ながら金魚もグレーゾーンです。ちゃんと確認してから飼うようにしましょう。

理由は「湿気でカビる」「ポンプの音が騒音になる」「地震時に水槽が割れたら危険で、階下に漏れる可能性もある」「水槽の重さで床が抜ける(古い木造物件のみ)」など。

ペットを飼うと、どんな小動物でも思わぬ所で迷惑をかけたりします。電話一本で済むのですから、不動産屋に確認を忘れずに。

まとめ

・賃貸のペット可物件は退去時クリーニング費用が高額になる

・定めがない限り、費用は借主負担

・ただし契約書の特約をよく確認し、負担の義務と割合は不動産屋ときちんと交渉して合意をえること

・絶対に無断でペットを飼ってはいけない

もっと詳しく知りたい方は、下記サイトなどをご参考に


参考になる外部サイト一覧

参考資料
空乃さかな著「まねきねこ不動産1-仙台不動産事情」ねこぱんちコミックス、2009

 

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