雑記<中古住宅の引き継がれないアフターサービス>


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新築住宅の売却時、買った時ついてきた保証とアフターサービスはどうなるのでしょうか?

最近のハウスメーカー住宅では、20年保証、30年保証、中には50年保証と、恐ろしく長ーい期間の保証をつけてくれることが多くなりました。
「新築物件の需要が年々落ち込む中、将来のリフォームを見越してお客様を囲い込んでおかないと、生き残れない」という考えが広まっているのでしょう。

では中古住宅を購入した場合、保証はどうなるのでしょう?調べてみます。

引き継ぎされるケースは稀、ルール上ほぼ引き継ぎ不可

例えばこんなケース

「急に引っ越さないといけないから中古住宅を買いたいなあ。え?築10年?いい物件じゃないか。しかも施工したメーカーはCMで確か20年保証と謳っていたぞ。じゃあまだ10年、保証期間が残ってるじゃないか!」

さて、彼に新築同様のアフターサービスは引き継がれるのでしょうか?
答えは「否」
引き継ぎされるケースは限定的で、購入者に引き継がれるのは、基本的に3ヶ月間の瑕疵担保責任だけです。
これは中古住宅が「個人対個人」で行う個人間売買だから起こる現象です。

新築の場合、「企業対個人」の取引です。企業は基本的に、個人と比較にならないほどの大金を動かせますし、寿命も半永久的。だから20年なんて長期保証も可能となります。
中古の場合、売り主は個人。20年などという長期保証は個人が背負うには責任が重すぎて不可能。もしそんなことがルール化したら、誰も怖くて住宅を売れなくなります。

不動産屋はどうか?不動産仲介においては、あくまで不動産屋は仲立ちでしかありません。重大な瑕疵を買い手に伝えなかった、等の悪質なケースを除いて、長期保証をする義務も理由もありません。例えば住友不動産の例を見ますと、新築物件は最大30年までの長期保証サービスがありますが、中古物件では瑕疵保証サービスを用いて2年間。(むしろちゃんと中古向けのサービスがあったことに驚きましたが)どうしたって新築並みの保証とはいきません。

使われない中古住宅瑕疵保険

そこで登場したのが既存住宅売買かし保険。中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度でして、隠れた瑕疵が発見されたら国が指定した保険会社からお金が出て直してくれるという画期的な仕組み。

ただし、現在ほとんど利用されていないのが実情です。
理由としては例えば、欠陥があった場合、売り主に費用負担が発生して時間がかかるため。

買主が利用する場合、引っ越しまでに手続きする必要があり、売り主が居住中のときは協力を得ることが難しいため時間的に厳しいのです。そもそも、検査費用がかかる上に検査に通ったら保険料も払う必要がある、検査に通らない可能性もあるなど。

検査内容も、「構造耐力上主要な部分に係るもの」「雨水の侵入を防止する部分に係るもの」を検査して、劣化により人に危険が及ばないか確かめる目的なので、性能検査というわけではないですし。

何より購入者の立場からすれば、「瑕疵は住む前に知りたい」と思う人が大半でしょう。

ハウスメーカーによる点検業務の引き継ぎは?

例え保証がなくなったとしても、ハウスメーカーや工務店には、定期点検は継続して実施してもらいたいものです。特にハウスメーカーの住宅はクローズド工法(施工した業者にしか詳細が解らない工法)が多く、他のハウスメーカーや工務店では手を付けられない場所があるからです。その辺りの引き継ぎはどうなっているのでしょうか?

定期点検について言及する法律はないので、サービス内容は住宅メーカーの自由となってます。新築に置いて、ハウスメーカーによっては、「アフターサービス基準書」を用意し部位ごとの保証期間を記載していますし、1年、2年、5年、10年という節目で点検に来る会社が多いようですね。

ただ、定期点検に関する学術研究は少なく、その実態は明らかにされているとは言い難い現実があります。私の知る限りでは

1. 角倉 英明、森 正志(2010)「地域工務店による木造住宅のメンテナンスサービスに関する研究 : 東京・M社による定期点検の体制について」 日本建築学会学術講演梗概集
2.大賀彩加(2011)「戸建て居住者の住宅定期点検の実態把握と普及促進のための研究」京都府立大学卒業論文

この2本くらいのものです。大賀(2011)によると中古住宅の定期点検実施率は2~3%に留まるらしいので、少なくとも引き継ぎは一般的ではないようですね。

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