マンガ「クロサギ」と学ぶ不動産<家賃詐欺編>

家賃詐欺とは

日本における一人世帯の割合は増加傾向にあり、今後ますます増えていくでしょう。

一人世帯で家を持つ人は少数です。
賃貸アパート、マンションに住む人が大半。

そんな社会の変化に伴い、危険性を増大させている詐欺が「家賃詐欺」です。

家賃なんて、月末に決まった値段を振り込むだけで、普段意識しないもの。これをそっくり奪ってしまう「家賃詐欺」は、現代の暮らしを巧みに利用して行われます。

今回はこの家賃詐欺について、マンガ「クロサギ」と一緒に、家賃の仕組みを今一度考え直してみましょう。

目次
1.クロサギについて
2.家賃の仕組み
3.家賃詐欺の対策
4.まとめ

1.クロサギについて

クロサギは、夏原武原案の、詐欺を扱った異色の漫画です。


主人公:黒崎

主人公「黒崎」は、父親がシロサギ(詐欺師)の餌食となり家族を失った経験から、この世の全てのシロサギを食い尽くすことを決意。詐欺師を騙す詐欺師、クロサギとなって、数々のシロサギを騙していきます。

クロサギ 第19〜21話「家賃詐欺」(2巻収録)

家賃詐欺 基本情報


主犯:香川
実行体制は自分と助手(男女一人ずつ)の3名


助手の男

今回の黒崎の獲物は、香川というシロサギ。彼の詐欺の狙い、即ち最終目標は「家賃を振り込む口座を変更させること」。

マンションの住人にいきなり「振込先が変更になりました」と言っても怪しまれる。彼が描いた詐欺の図は、住民を信頼させるため、2段階に分けて実行されます。


第一段階:アンケートを装い、住民に接触
「家賃が値下げになる」などのオイシイ話を持ち込む


狙い
1.口座変更の知らせの不自然さを消すため
2.振込先の口座番号を知るため
(住民の中に一人でもうっかりさんがいればよい)

第二段階:口座変更の通知を出す

家賃を8万として、30部屋のマンションを落とせれば240万円の利益がでる。


ボロい、ボロすぎます。やってることは「ポスティング」なので、住人との接触も少なく、逃げるのも簡単というオイシイ手口。ちなみに、香川は口座変更の理由として「管理会社の変更」を使っていましたが、他にも「建物の修繕費用の請求」とか「所有者の変更」とか、名目のパターンは色々あるようです。

果たして、黒崎は香川をどうやってパクリと頂いてしまうのか?それは作品を買って確かめていただくとして、どうして香川はこんなに簡単な手口で家賃を騙し取れるのか?その仕組を検証してみましょう。

2.家賃の仕組み

そもそも家賃のシステムとはどのようになっているのか?管理会社とは何なのか?を、一度整理してみます。


図1 賃貸借契約による住人と大家の関係

賃貸物件において、一番基本となる関係は、大家と住人の間で結ばれる「賃貸借契約」です。これによって、住人は物件の一室を利用し、大家さんは対価として家賃を受け取ります。

ただ、この契約に付属して、大家さんは色々な業務を背負い込むこととなります。

例えば「集金」。家賃がちゃんと振り込まれてるか管理して、払っていない人がいれば督促に行かなくてはいけません。
例えば「共用部分の管理」。共用部分について、例えば廊下部分の蛍光灯が切れたなら、取替は大家の仕事です。
例えば「空き家募集」。誰かが引っ越して空室が生じれば、新たな居住者は大家が自分で探さないといけません。

この他にも、クレーム対応や居住者の仲裁など、大家は結構色々な仕事を抱えています。

この業務が大変なので、誰かに代わりにやってもらいたい!ということで、「管理会社」が登場してきます。
図2 管理会社を加えた住人と大家の関係

この時、大家さんと管理会社は「管理委託契約」というものを結びます。内容は契約ごとに様々で、管理会社がどこまで「お手伝い」するかによって変わってきますが、主なものとして「空き室保証・滞納保証」「集金代行」「入居者管理」があります。これにより、家賃の振込や、クレーム対応などの実際のやり取りを、住人と管理会社との間で行えるようになるのです。


住民は大家と直接やり取りしない

管理会社は、入居者から集めた家賃を、管理委託料を差し引いて大家さんに渡します。つまりお金の流れとしては

住人 → 管理会社の口座 → 大家の口座

となります。つまり住人が何もしなくても(=賃貸借契約とは無関係に)、大家が管理会社を切り替えれば、振込先の口座は変更されるのです。今回の家賃詐欺は、その仕組を利用して仕掛けられた、というわけです。

ちなみに、いわゆるサブリース契約というのは、不動産会社が大家から借りた部屋を又貸しする契約なので、管理委託契約とは根本的に異なります。サブリースでは、住人は大家とではなく、不動産会社と直接賃貸借契約を結ぶこととなります。

3.家賃詐欺の対策

家賃詐欺は、
・管理会社と住民は接点が非常に少ないこと
・住民はお隣同士でも顔を合わせることが少ないこと
を利用した詐欺です。

管理会社と住民の接点なんて、ポスティングのお知らせとか、1,2年に一度の契約更新程度のもの。赤の他人が管理会社の人間を装うこと程度なら、誰でもできてしまいます。サスペンスドラマで、お隣の住人が容疑者の行き先を把握してるなんてフィクション。振込先変更の通知が来ても、現代の希薄な関係ゆえに隣の住民とそれを話し合ったりはしませんから、振り込んでから発覚までタイムラグ(=詐欺師が逃げる時間)が生じてしまう。

改めて見るとこの家賃詐欺、振り込め詐欺同様、仕掛けとしては単純でお手軽ですが、非常に効果的であると言えます。(架空口座が必要なので、素人には実行不可能ですが)

では見分ける方法はないのでしょうか?

振込先が変更になることそのものは、別に珍しいことではありません。つまり、それだけで詐欺と断定することはできません。

見分け方としては、
入居者の誰か1人でも注意深い人がいて、本当の管理会社に電話されると、即入居者全員に「詐欺だから振り込むな」と通知されてしまうので、振込の期日ギリギリに通知がくるケースが多いという点が使えます。

本当に振込先が変更になった場合、そんなギリギリに通知がくることは決してありません。最低1月前には通知が来ます。

対策として、もう一つ。
人として当たり前のことをするということです。

管理会社が変更になったという場合、大家という「人間」から、管理会社という「企業」に変わったことで実感は薄くなりますが、今までお世話になったことに違いはないわけです。

だから「今までどうもありがとうございました」と一本電話するだけで万事解決します。(詐欺だったら「なんのことですか?」とか「引っ越されるのですか?」と返されるので)

本当に会社が変更になったとしても、マンションの住民にお礼を言われて、迷惑だと思う業者さんはいません。

振込詐欺同様、電話での確認が最大の予防となります。

4.まとめ

・家賃詐欺は嘘のお知らせを通知するだけのシンプルな詐欺

・口座変更の知らせは全部疑っておけば間違いない(期日ギリギリのものは特に要注意)

・気になることがあれば、自分から一本電話することが、最大の予防

参考サイト

振り込め詐欺!家賃振込み口座の変更詐欺-賃貸博士-
http://www.chintai-hakase.com/sagi/index.html

賃貸の振り込め詐欺、この手口に要注意 [部屋探し・家賃] All About
https://allabout.co.jp/gm/gc/30396/

突然の管理会社変更!その時入居者はどうすれば良い?|不動産コラムサイト【いえらぶコラム】
https://www.ielove.co.jp/column/contents/01598/


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