書評<「正直不動産」勝手に解説!その1ー媒介契約ー>

千の言葉の中に、真実はたった三つってことだ
(「正直不動産1」より)

私は近頃、建築・不動産のマンガを集めているのですが、先日ユーモラスに「不動産仲介業」の実態を描いているマンガを見つけました。

そのタイトルは、「正直不動産」

家や不動産に手を付ける前に、すべての人に呼んで欲しい一冊です。が、コミカルに描く分、用語の解説が少なかったり、素人目にも結構大げさに描写されている部分があると感じました。

というわけで今回、正直不動産に登場した内容を、勝手に解説してみようと思います。第一回の今回のテーマは「媒介契約」です。

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雑記<どうして登記があっても詐欺にあうのか?ー登記の役割と効力ー>

積水ハウスの詐欺被害


(出典:読売新聞2018年3月23日)

積水ハウスが3月22日に、社内体制の強化を行う旨を発表したとの記事が、23日の読売新聞に掲載されました。発端となったのは昨年の6月に、積水ハウスが63億もの被害にあった、詐欺事件です。

積水ハウス、登記できず…「偽造書類に63億円」 – 産経WEST
http://www.sankei.com/west/news/170802/wst1708020087-n1.html

積水ハウスは、マンションの建設用地として東京都内の土地を購入したのですが、実はそれが他人の土地だったため、土地を手にできなかったのです。

この事件を通じて、経営陣は責任を追求され、会長であった和田勇氏は解任、トップが交代する事態にまで発展しました。

どうしてこのような事件が起こるのか?これは登記の内容と真実と異なっていた場合、登記を信用して取引し損害が生じても、国などが損害賠償に応じてくれるわけではないから(法律用語で「公信力がない」)です。

こう聞くと、登記を信じてはいけないのか?という話になります。登記とは何のためにあるのでしょうか?何故、登記には公信力がないのか?まとめてみます。 “雑記<どうして登記があっても詐欺にあうのか?ー登記の役割と効力ー>” の続きを読む

書評<持ち家が負動産になる世界で生きるには>

 「住宅過剰社会」膨らむツケ 「負動産」にしないために

2018年2月14日、読売新聞に専門家の経済講座としてこのような記事が掲載されました。

著者は東洋大学理工学部教授、野沢千絵氏。日本のスクラップ・アンド・ビルド型の住宅産業を批判し、対策の重要性を訴え続けている人物です。

相続の時、子ども世代はすでに自分たちの家を持っているので、親の家に住むケースは多くない。売りたくとも売れず、荷物が整理できないなどの理由で放置された空き家が都市部、地方を問わず目立っています。
(読売新聞(平成30年2月14日)より抜粋)

こうした空き家を野沢氏は「問題先送り空き家」と呼んでいます。そしてこうした空き家が散財する中、新たな宅地が開発され、インフラの整備、防災対策、公共サービスが必要なエリアが増加していく。そこに多額の税金が無駄に投入されていく。

この現状からどう脱却したらいいのか?本日は野沢氏の著書である「老いる家 崩れる街」について、内容を要約してみようと思います。
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雑記<津波対策としての防潮堤を考える>

東日本大震災から7年経ちました。

3月11日に日本を襲った大津波は、地図を塗り替えるほどの、余りにも大きな爪痕を残し、間接死も含め約2万2000人の方が命を落としました。亡くなった方々には、ただただ冥福を祈るばかりです。また、傷跡は未だ完全には癒えず、今もまだ5万人以上の方が、仮設住宅や公営住宅等に避難を続けています。

地震が発生した当時、私は高校生でした。幸いにして日本海側に住んでいたため、体感した揺れはせいぜい震度3。「結構長い地震だな」としか思いませんでした。日本の反対側で何が起こっていたのか知ったのは、家に帰ってテレビを見せられてからでした。

そこに映し出されていたのは、正直に言って、CGとしか思えない光景でした。津波と、火の海と、津波の危険領域が示された日本地図とが繰り返し表示されていたのを、どこか映画でも見るような感覚で眺めていたことをよく覚えています。

当時、自衛隊に所属して岩手県にて救助活動に参加した方に話を伺ったことがあります。火災の被害にあった地域だったそうですが、「黒焦げになった遺体があった。人だとわからなかった」など、想像もできない話をいくつか聞きました。

7年で何が変わったか?

自然は時に、人間の想定なんて、軽々と、嘲笑うように越えていきます。

東日本大震災は、情報システム、医療、物資輸送、避難所運営等、日本の災害対策における多くの課題を浮き彫りにしましたが、特に衝撃的だったのは、「津波が防潮堤をあっさり越えて、街を飲み込んでいった」こと、その光景でしょう。津波に粉砕され、防潮堤は災害対策としての価値を疑われるようにもなりました。

あれから7年、防潮堤による津波対策はどのように変わったのでしょうか?

traverse 新建築学研究|京都大学 | エッセイ【牧紀男】
津波ゲーティッド・コミュニティー」
https://www.traverse-architecture.com/18-m1

こちらのエッセイは、まちを守る「壁」としての防潮堤についてのあり方を語ったエッセイです。津波対策を考える上で、今日はこのエッセイについて紹介したいと思います。

津波ゲーテッド・コミュニティ

エッセイについてお話する前に、「トラバース新建築学研究」についてご紹介を。トラバースは、京都大学院生の有志が集まって毎年発行されている、建築の専門誌です。様々な分野の第一人者へのインタビュー、学生による作品の紹介、京大教授のエッセイなどが掲載されています。今回紹介するのはトラバース最新号に掲載された、防災研究所で都市防災について研究している、牧紀男教授の記事。

彼は記事で、まちづくりにて「悪役」にされがちな、防潮堤の役割について再考しています。

日本では、洪水・高潮・津波といった水災害から「堤防」でまちを守るのが基本となっている。東北太平洋沖地震(M9)クラスの津波を防ぐためには、非常に高い防潮堤が必要となり(中略)東日本大震災以前の津波高を基準とした「低い防潮堤」でまちを守ることとなった。こういった方針転換に対して「もっと高い防潮堤を」という意見があっても良さそうであるが、それとは反対に「防潮堤が高すぎる」「堤防で海が見えなくなる」という意見が時に宮城県では大きい。(出典:牧紀男「津波ゲーテッド・コミュニティ」)

東日本大震災の後も、必ずしもより巨大な防潮堤が建設されたわけではありません。防潮堤建設には住民の合意が不可欠ですが、巨大津波を防ごうとすれば、巨額を投資してコンクリート製の万里の長城を築くこととなる。

図1 岩手県山田町の防潮堤(出典:同上)

心強い存在ではありますが、景観の面で見ていて気持ちの良いものではないかもしれない。移転した地域については「高台に移り住んだのに、防潮堤の意味があるのか?」と疑問視されることもあるでしょう。防潮堤の意味とは何なのでしょうか?

津波からまちを守るため各地に津波防災施設が建設されていった結果、三陸沿岸では河口部に水門、市街地には高い防潮堤、国道には過去の津波浸水地域示す警告板をといった津波防災景観とでも呼ぶべき風景が形成されることとなった。(出典:同上)

三陸沿岸はもともと、何十年かおきに、津波に襲われてきた地域です。特にチリ地震(1960)津波の後は、経済成長と土木技術の発達があり、三陸沿岸では数多くの防潮堤が建設されました。災害対策で有名だった田老町は実際に「万里の長城」と例えられた巨大な防潮堤(高さ10m)がありました(津波は防潮堤を乗り越え、木っ端微塵に破壊しましたが)し、譜代村は15mの水門でギネスに登録され、宮古市重茂半島の宮古湾に面した地域には、「谷筋を防潮堤で蓋をしたような景観」が形成されました。

そして、宮古市堀内地区は、津波を防ぐため集落が防潮堤で囲まれた地域。海側からは、防潮堤についている鉄扉付き穴だけが唯一の入り口。牧教授はこの地域を海外における、犯罪者の浸入を防止するため住宅地の周りを塀で囲み、入口に警備員を配した住宅地、「ゲーテッド・コミュニティ」になぞらえ「津波ゲーティッド・コミュニティーと呼び、「防災対策の一つの到達点」と評しています。

何故防潮堤が、いいイメージを持たれないのか?これについて牧教授は
1.本来時間をかけて議論した上ですべき防潮堤の整備が、復興対策として突然示され、議論に十分な時間がとれなかったこと
2.災施設を設けたら被害が発生しないことを当然とする防災対策に対する日本人の誤った理解
の2点を指摘。「自分で考えない・多様な選択肢を認めない・絶対的な安全性を求めるということが防災対策を行う上で最も良くないこと」とまとめました。

まとめ

津波のリスクとどうやって付き合っていくか?これは災害対策の永遠のテーマでしょう。宮城県の女川町のように、あえて防潮堤をつくらずに、町全体を嵩上げするという選択した事例もあります。

参考:AbemaTIMES「東日本大震災から6年 巨大防潮堤を「選んだ町」と「拒んだ町」、それぞれの今 」
https://abematimes.com/posts/2109847

全ての地域でそれができるわけではない。実際、地域ごとに対策はかなり色が異なるようです。

参考:毎日新聞「東日本大震災5年:防潮堤、備えはどこまで 」
https://mainichi.jp/articles/20160310/ddm/010/040/030000c

どのような対策を取るべきなのか?牧教授は防潮堤の意味について「防潮堤だけでまちを守ることはできないが、防潮堤は、同じ場所に留まりながらも財産も守るということを考えると唯一の選択肢となる」としました。しかし、そもそも危険な地域に留まるよりさっさと移り住むべきという考えもあります。

私たちは何を選ぶべきなのか?
・自分で考える
・多様な選択肢を認める
・絶対的な安全性を求めない
を旨として、改めて考えていきたいところです。

雑記<リフォームの分類と価格の目安に関する一考察>

現代は、モノ余りの時代に突入し、ストック型社会への転換が叫ばれるようになりました。

その中で、既にある住宅の価値を高める、リフォームやリノベーションの重要性は年々高まってきています。

一方でリフォーム市場は伸び悩んでいます。理由の一つとして、「価格がよくわからない」という不安を消費者が抱えている実態が、統計調査で明らかになっています。

価格の目安を知る方法の一つとして、リフォームの施工事例を調べるというやり方があります。例えばリフォームマッチングサイト最大手、ホームプロには、約7万件の事例が掲載されています。では、この価格はどれくらい目安になるのでしょうか?

リフォームの種類の観点から少し考察してみます。 “雑記<リフォームの分類と価格の目安に関する一考察>” の続きを読む

マンガ「クロサギ」と学ぶ不動産<家賃詐欺編>

家賃詐欺とは

日本における一人世帯の割合は増加傾向にあり、今後ますます増えていくでしょう。

一人世帯で家を持つ人は少数です。
賃貸アパート、マンションに住む人が大半。

そんな社会の変化に伴い、危険性を増大させている詐欺が「家賃詐欺」です。

家賃なんて、月末に決まった値段を振り込むだけで、普段意識しないもの。これをそっくり奪ってしまう「家賃詐欺」は、現代の暮らしを巧みに利用して行われます。

今回はこの家賃詐欺について、マンガ「クロサギ」と一緒に、家賃の仕組みを今一度考え直してみましょう。 “マンガ「クロサギ」と学ぶ不動産<家賃詐欺編>” の続きを読む

雑記<コンクリートにどうやって固定する?>

昔からの疑問でした。

「コンクリートに、どうやってモノを固定するのだろう?」

RCの建築で、躯体を作るまではいいのです。そこに間仕切りや配線、配管をどうやって固定するのでしょう?まさか木に釘を打つように、金槌でトントン叩くわけでもあるまいに。

調べてみたら、色々な固定方法があるようでした。今回は、コンクリートへの固定方法について、メモを残してみます。 “雑記<コンクリートにどうやって固定する?>” の続きを読む

書評<最大限のパフォーマンスを発揮するために>

 多くの優秀な人ひとが、自分にとって大事なことを見分けられなくなっている。理由の一つは、断ることを極端に嫌う世の中の風潮だ。(中略)こうした風潮のせいで、優秀な人は「成功のパラドックス」に陥ることになる。

グレッグ・マキューン著「エッセンシャル思考」は、「如何に時間を有効に使うか?」という問に答えてくれる一冊です。全21章に渡って、そのテクニックを実例を交えて紹介していますが、根底に流れるエッセンスは非常にシンプル。

平易な文体ですが、とても中身の濃い本。建築とは無関係ですが、素敵な一冊として、要約と感想をここに記します。 “書評<最大限のパフォーマンスを発揮するために>” の続きを読む

雑記<壁の下地についてのメモ1>

大学では、意外と下地について学ぶことはありません。自力で勉強するしかないです。構造についてはある程度勉強するのですが、構造に関わらない細かいこととなるとさっぱり。

ただ、実務となると「こんな構造があるよ」程度の知識でどうにかなるわけもないですし、下地ふくめ、細かい仕様について学んでおくことは非常に重要なことでしょう。

というわけで、下地の基本のキホンについて、少しメモを残しておきます。 “雑記<壁の下地についてのメモ1>” の続きを読む